有限会社 ヒューマンリンク

 

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2021年 5月号

「過」(あやまち)は過ぎてゆくもの


 「過」と書いて「あやまち」と読みます。今年私は大きな過をおこしました。2月4日、河南町にある借家の2階の階段から足を踏み外して転落し、肋骨にひびが入りました。そしてほぼ1月後、3月14日には友人の予言通り、頭部打撲から両側慢性硬膜下血腫のため入院・手術という目にあいました。

  硬膜というのは脳と頭蓋骨の間にある膜で、CT検査によりそこに血が溜まっていることが判明。それが原因で歩行障害などが悪化しないようにと、即手術という事になりました。手術は局所麻酔にて「頭頂部を一部剃毛し4p程度の皮膚切開をおき、10円玉程度の穴を骨に穿ちます。直下に硬膜と呼ばれる膜がありそれを十字型に切開すると問題となっている血腫に達しますので生理食塩水にて十分に洗浄したのちにドレーンチューブを硬膜下に留置し十分に止血したのち閉創し終了。」というものです。

 一時間ほどの手術で局部麻酔という事もあって直接的な痛みは感じなかったのですが、ゴリゴリといった感触はありました。術後何らかの理由で出血が続き、あと一日ほどドレーンを付けたまま過ごしました。夜、寝がえりが打てませんので肩こり等が長く続きました。ようやく、十分止血したという事でドレーンを外し閉創、つまりホッチキスで穴を閉める(もちろん頭蓋骨の穴はそのままです)ということになりました。でもそれは、麻酔もなく4人部屋の普通のベッドで「それじゃ止めますね。」という医者の掛け声だけでガチャリ・ガチャリと4から5か所止められました。痛みはあっという間で長くは続きませんでしたが、頭蓋骨に針を刺す痛みは強烈でした。そのうえ、その術中に担当の看護師が「西村さん、個室ベッドが空いていないので4人部屋のままでいいですか?」と普通に聞いてくるのです。「…いいです…」と答えるしかありませんでした。「他人の痛みがわからないという事はこういう事なんだな。」と妙に感心した次第です。

 きっかけは二階からスチールの椅子を下ろしたいがために不用意に階段から落ちたという私の「過」から起こったことですが、ベッド上で声をかけられたときは「この看護師と病院は絶対に許さん…」と弱弱しく決意しました。しかし、「過」という事は「過ぎてゆく」事でもあります。過ぎてゆくのは自分の「過」だけではなく、他人の「過」も然りと思うようになりました。

 医療・介護に関わっていると業務としての「慣れ」から、介護を受けている側の気持ちが分からなくなることもあります。常に初心に戻るため、今回の事を忘れずにいようと思っています。


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