有限会社 ヒューマンリンク

 

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2021年 1月号

求められるのはコミュニケーション


 仕事という意味の言葉は、労働とか役務という言葉で表現されることがあります。英語ではそれぞれワークとかレイバーという言葉に当たります。ワークとは産業革命以降といわれ、何らかの技能や能力をもって賃金と引き換えに主体的に働くことを意味し、レイバーはそれ以前からある上からの指示・命令に従うだけのどちらかといえば単純労働を意味しているようです。賃労働であってもともすれば主体的な判断、能力を欠いたレイバーに陥りがちなことに警鐘を鳴らしている人が多いようです。指示待ち症候群などと呼ばれている状態がそうです。

  私たちの訪問介護、居宅介護の仕事はというと、行き過ぎた自己判断(計画されているサービスの大きな変更等)は禁物ですが、顧客との一対一の現場で、常に上からの指示を仰ぐことはできない状況にあります。そういう意味では介護というのは、対価が発生する商品としての労働の中でも特殊なものといえるでしょう。橋や道路などを作る製造業では、消費者にとって生産者一人一人の顔はおろかその個人としての存在はあまり意味を成しません。介護や看護、教育などでは一人一人の在り方、顧客との関係性が大切になってきます。そういった仕事は感情労働や対人格労働などと呼ばれています。つまり、一つ一つの作業も大切だが、仕事の目的はクライエント(相談者)や利用者と呼ばれる顧客に対して、その人生の生きがいや喜びを促進することが目的であり、そのための臨機応変の対応が求められるということです。緊急医療などは別として、そのためにはコンテキストといわれる顧客人生の文脈、背景を知ることが大切です。いくら食事介護が計画にあったとしても、無理やり口に押し込むことが本来の目的と照らし合わせて合わないこともあるということです。

 介護保険が始まってから商品としての介護を、作業を仕分けしたものとしてのタスク(作業を分類したもの)はあります。老計第10号(平成12年 厚生省老人保健福祉局老人福祉計画課課長通知)というのがそれです。介護報酬はそれらに分類されたタスクの累積に対する報酬として計算されます。本来複合的な介護を家事と身体介護に区分けし、家事の単価を下げることで報酬単価に大きな影響を与えることになりました。(そこには家事を専業主婦一般の、誰にでもできる仕事という評価があるようです)しかし、改善策も見られます。見守り的介護が身体介護として評価されることになったのは大きく評価されることでしょう。何もしていないように見えますが、顧客の安心安全を確保するため長時間傍に居続けることは、緊急時や変化に対応すべき長時間の緊張が求められます。また、その時対応できるだけのスキルも必要ですし、会話等の反応が困難であろうがなかろうが、顧客とのコミュニケーション能力というのが求められます。

 コロナ禍といわれる現在、国民こぞっての引きこもりが求められています。コロナそのものよりも、コミュニケーション不足による社会不安の増大が懸念されます。今こそ私たちのコミュニケーションの能力が求められる時代かもしれません。


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