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2020年 6月号

マスクの功罪


 新型コロナウイルス感染防止のため矢庭(やにわ)に注目されているのが「マスク」です。私は息苦しいのとメガネが曇ること、又付けたり外したりが面倒なので元々マスクは嫌で普段はつけませんが、「他人にうつさないためのエチケット」ということで、今はできるだけ付けることにしています。調べてみると、アジア諸国の人は比較的抵抗なく使用するが、欧米では避けられているということです。確かにニュースを見ても欧米諸国の政府首脳は余りつけたところを見ることはないような気がします。マスクは英語でmask、意味は名詞で@仮面・覆面・面 A覆い隠すもの・偽装・見せかけ・カッコつけ・口実、動詞では覆う・隠す・紛らす、といったふうに使われます。語源はアラビア語で「道化師」からきているそうです。

 日本では2000年以降、花粉症の流行と重症急性呼吸器症候群「SARS」の世界的流行、新型インフルエンザの流行以来ではないかといわれています。ベトナムの防紛塵マスク、韓国の風邪予防のマスクなどと違って、比較的きれいな環境と思われる日本で多い時には4割近くの人が(今はもっとですが)マスクをしているのは日本以外にはなさそうです。そこには日本人独特の文化的下地があるように思ってしまいます。島国で、同じ種 族、同じ文化の人たちとだけで暮らすこと が当たり前の日本。「あうん」の呼吸が当 たり前とされ、必要以上の説明は「野暮」、「空気」を読むことが集団生活の必須条件である日本。国は常に外国と接し、「違うこと」が当たり前で、敵か味方かを表さないと生きていけない大陸文化とは大きく違うところでしょう。

 顔を覆い隠すマスクは感染予防には役に立つかもしれませんが、人と人との付き合い、コミュニケーションをとるうえでは最悪の道具です。表情が相手に伝わらないのです。逆に伝えたくない人、変身願望のある人には有難い品物ということになります。手話が必須の聴覚障害者や小さい子供たちには不親切で不気味なものでしかありません。最近でこそテレビや講演会で手話通訳が当たり前になりましたが、実は聾学校では長い間手話が禁止されていて、口話の読み取りが強制されてきました。そして、手話では日本語の助詞に当たる分は顔の表情などで表します。ですから、マスクをして手話をするというのは助詞や助動詞なしでしゃべっているのと同じなのです。

 本当は透明のマスクがでてきたり、フェイスシールドが大げさではなくなるといいのですがね。


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