有限会社 ヒューマンリンク

 

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2020年 4月号

接遇研修2 接遇はコミュニケーション


 先月、「サービスとしての介護には接遇能力が求められている。」ということを説明しました。今日、そのことは介護だけではなくあらゆる産業において求められているといっても過言ではないでしょう。

 そもそも私たち日本人の特性として、人の出入りや変化の少ない農耕民族の特性かもしれませんが、「分かり合う、察知し合う文化」で育ってきました。口数の少ない、シャイな人が多いというのもそういった事情から当然です。仕事もモノづくり、工場労働が主流の時は「無駄口をたたかない、まじめ一筋」ということが美徳とされてきました。そして、「子供は大人の言うことを聞き、できるだけいい学校に入り、できるだけ安定した企業に入ることを目指す。企業に入ってからは上司の言うことを聞いていれば給料が上がり、ボーナスが出る。家も買えるし車も買える。」という世の中を作ってきたつもりでいました。

 しかし残念ながら、そのような社会は幻想にすぎなかったことがここ30年ほどでわかってきました。オイルショックやバブル崩壊といった経済の低迷、オウム真理教事件、阪神大震災に東日本大震災・福島原発の爆発、年金制度やその他のシステムの劣化、オレオレ詐欺、障害者施設での大量殺戮、今日のコロナウィルス禍と災難続きです。そして私たちを守ってくれると思っていた政府や自治体、企業や家庭、宗教や労働団体は、さほど絶対的に強固なものではないことを学びました。その結果、ライフスタイルは大幅に変わり、若者は自己実現・自分らしさを求め、「無口や真面目一筋」は美徳ではなく、「空気を読めない、頑固者・変わり者」と扱われることになりました。そして教育の分野でもコミュニケーション能力を育てることが必須の課題となったのです。このコミュニケーション能力が接遇の根幹です。大陸で他国と常に接しており、人の出入りが激しいヨーロッパ等大陸文化は「分かり合えない、説明が必要」な文化です。気軽に話しかける、挨拶するというのも、「自分は敵ではない」ということをアピールするためです。そうしないと周りが敵だらけに見えて暮らしづらいのでしょう。

 日本の教育は、国語は習ってもこの「コミュニケーション」ということは教わりません。挨拶の言葉は習っても、そのタイミングや次の言葉までは教わらないのです。国語の先生が会話上手なわけではないのです。会話での言葉は、コンテキス(話す人の背景、状況)によって常に変わらなければなりません。「元気にあいさつしましょう」といっても、体調が悪く、話すのも嫌な人に元気にあいさつすれば、「うるさいわ!」といわれるのがオチです。相手の気持ちに寄り添いコンテキストをすり合わせ、共感するというのが必要なのです。時間のかかるめんどくさい事だと理解しましょう。


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