2020年 3月号
接遇研修
今月の全体研修でSDGsの講義と、「接遇とマナー」「ヒヤリハット」「事故対応マニュアル」についてのお話をしました。振り返りと補足をしておきます。
「接遇とマナー」については、接遇の基本が五つあるということ。そもそも接遇とは何でしょうか。文字通りに解釈すると「接して、遇する」こと、お客様と接すること。「遇する」とは待遇とかと同じで「もてなす」といった意味です。
では、何故介護に接遇が必要なのでしょうか。20年前の介護保険が始まった時期はまだ措置制度(行政の施策、言い換えれば施し)の名残があり、お客様も「介護をして頂いてありがたい」、介護者も困った人に「介護してあげている」という感がありました。現に当時のヘルパー面接で、「介護はサービスだから…」といったことを言うと「私は違うと思います」と言って怒って契約せずに帰られた方もいました。介護保険のうたい文句は「措置から契約へ」であって、例え一割でもお客様から報酬をいただくわけで、国もサービスとして位置づけました。
20年たって利用者負担は1割から2割、障害福祉サービスも含めて商品としての「介護サービス」という考え方は国民に定着してきたように思います。ケアマネージャーや障害福祉相談員など仲立ちがあり、又サービス使用には様々な制約はありますが、商品である以上どのサービスを何時どの程度使うかを決まるのはご利用者、お客様であって、行政や事業者ではありません(勿論具体的な調整はありますが)。ですから、一般のサービス商品を取り扱うのと同じく、CS(カスタマー サティスファクション:顧客満足)のために事業者が努力するのは当然なのです。その入り口が接遇ということです。いくらサービスに自信があっても、入り口で拒絶されたら無と同じです。食べ手のいない豪華料理と同じです。
介護サービスと一般のサービスとは絶対的な違いがあります。一般の飲食業や宿泊業などのサービス業に比べて一律な線が引きにくいことです。要介護状態や障害に限定されるとはいえ、お客様の日常生活を支援するということですから、一時的な時や場所に限定するわけにはいかないのです。お客様やご家族(キーパーソンという方がおられます)一人ひとりとのかかわりが大切になります。介護サービスの接遇をマニュアル化しにくいのはそこです。それでも基本的(平均的)なことはおさえる必要があります。
基本は@表情 A身だしなみ B挨拶 C言葉遣い D態度の五つです。
気を付けるべきことはそれぞれあるのですが、前提としてメラビアンの法則というのを押さえておいてください。人と人が接したときの第一印象の割合です。視覚が55%、聴覚が38%、話の内容は7パーセントといいます。人は見かけが一番というのは本当なんですね。