2019年 12月号
いよいよオリンピック
2020年、いよいよ東京オリンピックが開催されます。近代オリンピックは19世紀末、パリ大学ソルボンヌ大における会議でフランスのクーベルタンが古代ギリシャのオリンピアの祭典をもとに世界的なスポーツ大会を開催することを提唱したことから始まったとされています。1896年にアテネ(ギリシャ)で第1回が開催され、今回で32回目とされています。1994年より西暦が4で割り切れる年に夏季、2年後の冬季と2年ごとに開催されています。1988年ソウル大会以降、パラリンピックとの連動が強化され、オリンピック終了後、同一国での開催が行われます。
もともとはアマチュアリズムを基本とし、古代の平和の祭典を目指した大会ですが、2度の世界大戦、テロ事件、冷戦下のボイコット合戦と政治が大きく影を落としたものとなっています。また、1974年オリンピック憲章からアマチュア条項が削除され、1984年のロサンゼルス大会からはショービジネス化が進み、「オリンピックは儲かる」との認識から立候補都市が激増し、各国オリンピック委員会とスポーツ業界の総力戦の場となっています。
オリンピックの後開催されるパラリンピックですが、国際パラリンピック委員会(IPC)が主催する、身体障害者(肢体不自由、脳性麻痺、視覚障害、知的障害)を対象とした障害者スポーツの総合競技大会です。もともとは1948年、ロンドンオリンピック開会式と同日に、イギリスのストーク・マンデビル病院で行われたストーク・マンデビル競技大会が起源とされています。これは、戦争で負傷した兵士たちのリハビリテーションとして「手術よりスポーツを」の理念で始められたということです。1960年、ローマで行われた第9回国際ストーク・マンデビル競技大会が第1回パラリンピックと呼ばれています。2000年シドニーオリンピック時にIOCとIPCの間で正式に協定が結ばれ、オリンピックに続いて開催されることなどが決定されました。パラリンピックの語は元々パラプレジア(脊髄損傷等による下半身マヒ者)+オリンピックの造語であったとされています。現在は下半身不随に加え四肢の切断や視覚障害などの身体障害者も参加しています。
IOCが認めたオリンピック名を使った障害者の競技大会としてはその他に知的発達障害者を対象にしたスペシャルオリンピックス「他の人に勝つことを目標とせず、アスリートが自己の最善を尽くすことを目的とした」と、聴覚障害者のための国際スポーツ大会デフリンピック「ろう者(Deaf)+オリンピック(Olimpics)」がある。注目してゆきたい。