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2019年 9月号

改めて障害福祉サービスと介護保険


 10月から消費税が改定され、主に社会保障費に回されるということです。国会でも車椅子を常時使用する重度障害を持つ国会議員への対応が議論となっています。それ自体が今まで如何(いか)に重度障害者の国政参加が念頭になかったということの証明なのですが。それをきっかけに障害者の「外出支援サービス」が話題となっています。現在の行政による障害者に対する外出支援サービスは「通学・通勤」には原則利用できません。その理由は良く分かりませんが、今回大阪府知事が大阪府による持ち出しでも「通学・通勤」でのサービス利用を進める方向で議論を進めるということです。

 この問題は二つの点で大きな問題を孕んでいます。

 一つは障害福祉サービスに関してですが、「障害者総合支援法」の理念からすると、「すべての障害者及び障害児が可能な限りその身近な場所において必要な日常生活又は社会生活を営むための支援を受けられる」ことを謳っているわけですから、現在保護者や身内の介護者により担われている通勤・通学での支援を可能な限り行政が保障することは当たり前のことと思われます。そもそも障害者の外出支援サービスの利用が大阪以外が極端に少ないことが明らかで、全国的には障害者の外出、社会参加は進んでいないということです。

 二つ目は、ここでいう「障害者」というのはどこまでを指すのかということです。現在介護に係る法律は大きく分けて「介護保険法」と「障害者総合支援法」がありますが、この二つ、大きく違うのは支援する目的を「日常生活支援」に限定するのか「社会生活支援」もしくは「社会経済活動支援」も含むのかということです。介護保険では「日常生活」に限定され、障害福祉サービスでは外出支援や就労支援などの社会・経済活動の支援も含んでいます。

 では、対象はというと介護保険法の第七条には『…「要介護状態」とは、身体上または精神上の障害があるために、入浴、排せつ、食事等の日常生活における基本的な動作の全部または一部について、…継続して、常時介護を要すると見込まれる状態であって…』となっており、年齢的な区分はありますが、要介護≒障害と考えているということです。

 つまり、障害者の中の一部の高齢者を介護保険で対応するというだけのことなのです。20歳未満を障害児として区別しているのと理屈は同じです。つまり、「障害者」の中には「障害児」と「要介護高齢者」が含まれるということです。ということは高齢者に対しても「障害者総合支援法」は適用されるので、社会・経済活動への支援も含まれるということになります。


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