2018年 9月号
息が合う
2歳半の孫がいます。先日の山口県の行方不明男児は他人事ではなく心配しました。「ボランティアの師匠」と言われる78歳の尾畠さんによって無事保護され、本当にほっとしました。20分で見つけた尾畠さんも奇跡的ですが、三日間山で生き延びた2歳児も奇跡的でした。2歳だとほぼ論理的に話すのは無理だと思うので、想像しかできませんが、丁度お盆の時期、「トトロ」か多くの守り神・霊に守られたとしか考えられないですよね。
助け出した尾畠さんは40歳で登山をはじめ、北アルプス55山縦走、65歳で鮮魚店を閉めてからは鹿児島の佐多岬から北海道の宗谷岬まで日本列島徒歩で縦断。東日本大震災では南三陸町で人々が大切にしていた物を拾い集める「思いで探し隊」の隊長を務めるなど、若いボランティア達からは「師匠」と呼ばれていたといいます。月に7〜8回、30`〜40`の材料を担いで山を登り、登山道の整備を始めているそうです。
皆がみんな尾畠さんのようなヒーローにはなり得ませんが、普段からの体力づくりや現地に迷惑をかけないように自家用車で寝泊まりするなど、その姿勢には学ばされます。
タイでの洞窟からの救出劇や、今回の捜索などで助ける側の力と、助けられる側の力が噛み合った時、息があった時事態を好転させるのですね。そのことは私たちの仕事にも共通するものです。「難ケース」というのは、この息が合わない状態のことを言うのですね。
助けたいと思う側がいくら「頑張っても」助けられる側の生きる力と噛み合わないと空回りすることがあります。息が合うまで「待つ」という「間」も必要です。受ける側も困った事態になった時に、慌てず騒がす(無駄な体力の消耗を防ぐ)救助に協力することが必要だということです。不信感は事態を後退させるだけです。
その意味では、日頃からの「助けられる」訓練も必要かもしれませんね。