2018年 2月号
トンデモナイ事件が続きます
高齢者問題、障害者問題とよく言われますが、高齢者や障害者が問題なわけではなく、高齢者や障害者が「生き辛い状態」が問題なんですよね。
誰でも年はとりますし、死ぬまでには色々な疾病にかかり、事によれば障害となる場合もあります。そんなことは当たり前のことなので「高齢者や障害者に問題がある」と、もし思っている人がいるとしたら「あなたは絶対に年はとらないし、ケガや病気にはならないんですね。」と「感心?」するしかありません。
昨年暮れに寝屋川で15年間も自宅監禁(昔の言葉でいうと、自宅監置)されていた33歳の女性が、たった15`まで痩せて素っ裸で凍死しました。彼女は10代で統合失調症と診断され、親は「世間に知られたくない」と、監禁していたそうです。それを放置していた学校や行政にも問題はあるでしょう。ネット上にいろんな意見が載せられましたが、親を責める記事は少なく、「社会は何ができるのだろうか?」などと、トボケタ書き込みがありました。一日1、2食で15年間も2畳の部屋に閉じ込めるというのは明らかに犯罪でしょう。
社会が出来ることははっきりしています。精神障害者への差別と偏見をなくし、他の疾病と同じように必要であれば医者に掛かること。急性期を乗り越えれば以後の生活を家族や地域が受け入れ、福祉サービスが支えるということです。
医療保険を逼迫(ひっぱく)させているのは高齢者の長期入院(社会的入院)だけではありません。諸外国の倍近い精神科の長期入院もあるのです。仕事を一人で抱え込んでしんどくなる人と同じで、精神疾病を病院だけで治すというのは無理だというのははっきりしています。それを医療の失敗というのですが、医療だけの失敗ではありません。退院してからの受け入れ態勢が無い、もしくは弱いということもあります。
まだまだ、とんでもないことが起こりますね。当事者感を持った福祉が問われる所以(ゆえん)です。