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2017年 2月号

住みやすい世界に


 2020年東京オリンピック・パラリンピックに関心が高まる中、今年2017年夏に、もう一つのオリンピック、デフリンピック(「ろう者(Deaf)+オリンピック(Olympics)」の造語で「ろう者のオリンピック」という意味)がトルコのサムスンで開催されます。
 パラリンピックが身体障害者のオリンピックに対してデフリンピックはろう者のオリンピックとして夏季は1924年から、冬季は1949年から4年に一度開催されています。1989年に国際パラリンピックが発足した当時は、国際ろう者スポーツ委員会も加盟していましたが、独創性を追求するということで1995年に組織を離れたそうです。どちらかというとリハビリテーション重視のパラリンピックに対して記録重視の考え方だそうです。ですから現在パラリンピックにろう者は参加できません。その辺の事情はどうあれ、デフリンピックには世界104の加盟国があり日本からも150人くらいの選手が参加するそうです。大いに注目したいところですね。ちなみに世界ではもう一つ、スペシャルオリンピックスという知的障害者の国際的なスポーツ組織があります。そちらにも関心を寄せたいと思います。
 ところで、昨年より手話と要約筆記の研修に参加しています。私の技能はまだまだですが、いろんなことがわかってきました。一言で難聴者、聴覚障害者といっても聞こえなくなった時期、程度は一人ひとり違うので、手話を話せない聴覚障害者もいれば、漢字など要約筆記ではわからない人もいるということです。
 ついこの間までは聾学校では手話が禁止されており、読唇術と口話の訓練に明け暮れたそうです。社会が障害者に適応するのではなく、障害者が健聴者社会に適応しなさいというわけです。「一人はみんなのために、みんなは一人のために」ではなくて、「一人はみんなのために、みんなは多数派のために」ということです。そんな訓練ばかりやらされたら、普通の勉強がおろそかになり、学力はつかないといいます。障害者差別解消法のおかげで今では聾唖の医者もいるそうですので、聾唖だから学力が低いのではなく、今までの教育が不適当だったといえるでしょう。
 今では人口の2割が難聴か聴覚障害者と言われます。そのうち障害者手帳保持者は少ないでしょうが、聞こえない、聞こえにくいという不自由さを感じている人は多いと思います。視覚の場合はメガネやコンタクトレンズで矯正しますが、10万円以上もする補聴器をそんなに多くの方が持てるはずがありません。テレビの字幕のように、社会が適応してゆく方が近道と思われます。

 

 


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