有限会社 ヒューマンリンク

 

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2016年 9月号

異常なのは犯人だけ?


 7月26日未明、相模原市にある障がい者収容施設「津久井やまゆり園」で刃物による19人殺害、26人傷害という戦後最大の殺傷事件が発生しました。犯人は大学で教育実習も受けた元職員。「ヒトラーの思想が降りてきた…」などと語っており、優生思想の持主のようです。
 大麻の常用など犯人の精神の異常性は明らかですが、私たち福祉職関係者にとって大切なのは、何故事件が起こったのか、防げなかったのかということでしょう。施設の特徴は、@150人を収容する大施設 A19〜70歳までを収容する複合施設 B18〜19人を8ユニットに分けた職員体制 C宿直は各ユニットに1人ずつ D犯人は深夜2時に侵入 E職員は警報すら鳴らさず部屋に閉じこもり、犯人が「通報されたと思って」殺害中止 F3時に犯人が自ら警察署に自首

…これがホテルか病院だったらありうると思いますか?
…その後大した変化もなく、100人近くが入所中と言います。
 もし、病院かホテルでの事件であれば即刻営業停止、管理者および行政の管理責任が大きく問われるところでしょう。 ところがマスコミや識者の意見は犯人の異常性追求のみ…
 私が初めて和泉市にある障がい者収容施設を見学して驚いたのは、外壁の鉄条網の返りが内に向いているということでした。そうです、施設にとって大切なのは侵入者を防ぐことではなく、内部の障がい者を外に出さないことなのでした。
 ここから導き出される私たちの教訓は 、

@巨大施設はやめましょう Aどうしても設置するのなら、できるだけ少人数で、カギや戸締りだけでなく、警報装置やガードマンの配置を必須条件に Bノーマライゼーションとは、大多数の健常者に囲まれて障がい者が暮らすということ C私たちは限りなく在宅介護を目指します

 亡くなられた方のご冥福と、傷つけられた方の回復をお祈り致します。

 


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