有限会社 ヒューマンリンク

 

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2016年 5月号

頑張らなくてもいい、あきらめないで!


 今年(61歳)になって、初めて発達障害の教育プログラムを実践することができました。「お出かけチェックボードの活用です。小さい頃(小学校前)から「忘れ物が多い」というのが悩みでした。一番忘れられないのが中学校の時、音楽の授業で縦笛を忘れたときです。嫌いな先生ではなかったのですが、私ならできると思ったのか「友達に借りてこい」と言いました。他のものならまだしも、口をつける笛をいくら友達といえども借りることはできませんでした。結局「先生ごめんなさい」と泣くしかありませんでした。それから月日はたっても、忘れ物の多さは数知れません。とりわけ、家を出て駐車場に行くまでに忘れ物を思い出すのは良い方で、車に乗ってから思い出して取りに帰るのは毎日の事でした。カギや携帯、ノートを探して半日つぶすのは毎度のことでした。そのことでご迷惑をおかけした方は数知れません。母からは「財布や携帯は首につっておけ」といつも言われていました。首につっても外した途端忘れるのですから始末に負えません。
 数年前、「かたづけられない女たち」という本が出て、物忘れやかたづけられないことが単なる注意散漫ではなくて、注意欠陥障害という「障害」の可能性があると語られたとき、本当に「これや!」と思いました。正確に医師の診断を受けたわけではないのですが、自己診断テストなどでは間違いなく注意欠陥障害の兆候でした。今まで「努力が足りない」「ええ加減や」と言われ続けた半生をかえりみると、天に昇る嬉しさでした。
 しかし、確かに「注意欠陥障害であった」ということで自分を慰め、「努力が足りないわけじゃない」という安心感はあっても、事態は変わっていなかったのです。相変わらず毎朝行ったり来たりの人生は続いていました。この春、画期的な転換点を迎えました。最低必要なものを毎日ボードでお出かけ前にチェックするということです。最初はめんどくさくて滞りがちだったのですが、出かける前に一瞬チェックするという効果が目に見えて出てきました。母も教師も「そんな幼稚なことはしなくても…」と思っていたのでしょう。意外や意外、シンプルな行為ほど効果はあるのです。電車の駅員の「指さし呼称」を思い出しました。61歳からでも人は変わることができます。
 家のトイレに飾ってある言葉は「頑張らなくてもいい、あきらめないで!」です。

 


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