2016年 3月号
八百万の神を見直そう
人と人との距離を表す言葉として、「遠からず近からず」という言葉があります。親子関係でいえば「スープの冷めない距離」というところでしょうか、程よい距離感ですね。
「近からず」というのは近づかなければいいのですから比較的簡単です。「遠からず」というのは幅が広いから難しいですね。数時間おきに出会うのも「遠からず」なら数日おき、もしくは一週間おきというのも「遠からず」と言えますね。ひと月ごとというのはチョット「遠い」気がします。私事としては孫の顔を見に行く頻度を問題にしているのですが…。相談業務における頻度にもつながる気がします。もちろんその時々の事情によって変わりますので、固定的な距離というのはないと思います。相手が病気をしていれば頻度は増しますし、「元気」なら間は空きやすくなるかもしれません。けど、大体の目安は作っとかないと仕事はしにくいですね。
先日ある人から、「あんたとこの人ちゃうけど、ケアマネさんというのはサービスが途切れるとそれっきりか?」と言われました。実際のところサービスが途切れると、中々連絡しにくくなるものと思います。その意味では儀礼的と思われる暑中見舞いや年賀状というのも意味があるようですね。
古いしきたりや習わしの中にも、人と人が付き合ううえで大切な知恵が残されているということでしょうか。
今、アニミズム(原始宗教?)ともいわれる日本の文化、宗教が見直されてきています。全てのものに霊魂が宿るという考え方、宗教です。明治以降の天皇を絶対視する「神道」ではなく、縄文時代の昔から根付いてきた八百万の神を祀る考え方です。それは仏教・道教・儒教、ユダヤ教・キリスト教・イスラム教などの世界的な宗教(啓示宗教)や神道(天皇制)をも含む幅の広い考え方といっていいでしょう。宗教といえば考え方の違いで大きくいがみ合い、下手をすれば戦争にもなりかねません。でも、八百万の神の考え方に立ち戻れば、「みんな仲良く」ということでいいのではないでしょうか?
ちなみに、私は今奈良や飛鳥の古代文化にはまっています。自分が住んでいる近隣に多くの文化遺産があるということに改めて気づかされました。利用者の昔話や思い出に大切な何かが潜んでいるかもしれません。おもしろがられる感性を磨きましょう。