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2016年 1月号

心の理論


 人がこの世に生を受け生まれ落ちたならば、親・兄弟姉妹をはじめ幾多の他人と関わりあいを持ちながら生き続けることとなります。関わり方としてはお互いが向き合う対面式の関わり方と、並んで前を向く並列式の関わり方があるように思います。
 通常のコミュニケーションは対面式で、互いの視線や身振り・手振りなどで伝えようとしていることを読み取り、言葉のキャッチボールを行うことになります。ところが、昨今では「対面式は苦手」という人が多くなっているような気がします。「他人と視線が合わせられない」「他の人と一緒にいても、まるで一人でいるようにふるまう」「周りに関心を示さない」といった風です。極端な場合人間関係がうまく結べず、「タイプ」ではすまなくて生活に支障をきたしてくると「相互応答性の障害」があるということになります。自閉症スペクトラムと言われます。概して相手の気持ちや感情がうまく把握できない障害と思われます。
 一般に、子供は発達に応じて「相手の視点で相手の心の動きを想像する能力」(心の理論)を身につけるようになるのですが、その発達が遅れているのです。
 「心の理論」の最初の重要なステップは「注意の共有」です。相手の行動のうち偶然の行動と意識的な行動を見分ける能力です。出された腕を「自分を抱こうとしている」と理解する力です。次に重要なステップは「ごっこ遊びや想像遊び」といわれます。

 そして、3番目に重要なステップが「相手の立場になって考える」ということです。
「サリーとアン課題」という有名な検査があります。
『サリーはお菓子のバスケットを赤い箱に隠しました。サリーが部屋を出た後アンがお菓子のバスケットを見つけ、青い箱に移しました。部屋に戻ってきたサリーは赤か青かどちらの箱を開けるでしょう?』という問題です。通常4歳くらいの子供は「赤」と答えることができます。もし「青」と答えるとすると、お菓子がどちらにあるかという事実の問題と、サリーの立場に立つとどう思うかということが混同されているのです。
 この年頃になると想像力が働き、嘘もつくようになります。この嘘をつくといったことで注意が必要なのは、すべてを自分と引っ付けて考える自己本位傾向と利己主義とは違うということです。相手の立場を分かったうえで損得勘定をもって自分の利益を全てに優先させるのを利己主義というとすれば、相手の立場に立って考える力が無くて自己本位傾向であることを利己主義と断じることはできません。「心の理論」に欠けているだけなのです。
 介護の世界では今後ますます「心の理論」の上に立った想像力(相談力)が求められています。一つひとつ力を身につけてゆきましょう。

 


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