2015年 9月号
敵は『完ペキ主義思考』
「高齢者の介護には入れるが、障害者はお断り」という考え方があります。又、その逆もあるのですが、どうも私には理解できません。それは「障害者」というレッテルを貼り、拒否するという差別意識(実際差別意識であることは間違いないのですが)から来ているのか?「それにしてはやけに堂々と主張するものだな…」と思っていたのですが、その心理を解釈するヒントを気づきました。
人が漠然とした不満、欲求不満を感じるにはある共通した考え方があるといいます。それは、目的・希望することと、現実・現状に差・ギャップがあるということです。思い通りにならないということですね。不満の多い人というのはこのギャップが多いということで、逆に不満の少ない人はギャップが少ないということです。人の幸・不幸もこのギャップによるような気がします。不満が少ないということはポジティブで、幸せ感が多いということでしょうし、不満が多いというのはネガティブで、不幸せ感が多いということでしょう。
そして、不満の多い人、ネガティブに考えがちな人に、ある共通することがあります。「『完ペキ主義思考』の人が多い」ということです。20年ほど前にあるミュージシャンが自殺しました。彼が最後のコンサートの打ち上げで「この人は完ペキなんです…」と他のミュージシャンを紹介したとき、何かしらカチンときて「完ペキなんてものがあるのか?」と食って掛かった思い出があります。結果的に彼は「自分は完ペキではない」と思ったからなのでしょうか自殺してしまいました。もちろん、それだけが原因ではないんでしょうが…
『完ペキ主義思考』は100か0、もしくはあれかこれかの二元的考え方です。「金メダル以外は無意味」といったオリンピック選手がいましたが、中間は「無意味」なんでしょうね。でも、現実は全てが中間的であって、完ペキなほうがありえないのです。あるとしても時間軸・空間軸のある一点で偶然ありうるだけのことです。その一点を目指して努力することを無意味とは思いませんが、執着しすぎることは不幸だと思います。
どうも「障害者は苦手」という人は『完ペキ主義思考』の人が多いような気がします。「自分は障害者ではない健常者だ」と思うのは勝手ですが、障害のあるなしは実は相対的なもので、完ペキな健常者もいないように完ペキな障害者もいないということに気づいてほしいと思います。
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