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2014年 8月号

「怠けてなんかない!」の言葉に耳を傾ける


 「怠けてなんかない!」という本があります。学習障害のひとつである「ディスレクシア」に関する本です。私は正直言って知りませんでした。LDとか学習障害という言葉はこれまでも聴いたことがあったのですが、どうもピンとこないということで調べようともしませんでした。「知的能力および一般的な理解能力等に特に異常がないにもかかわらず、文字の読み書き学習に著しい困難を抱える障害。俳優のトム クルーズ、アインシュタインやエジソンなどもディスレクシアだったそうです。」というのが理解できなかったのです。知的能力が普通なら読み書きできるのでは?と思ってしまっていました。
 英語圏ではアルファベットは26文字、日本語の平仮名の約半分なので、同じ文字でも複数の読み方・発音がある(例えばAはアと読んだりエイと読んだりする)ところから、早くから識字障害が多いとされていたそうです。アメリカでは2割の人はディスレクシアという調査もあるそうです。日本語は平仮名では一語で一音ですし、漢字は象形文字から来ているので一字で意味を捉えやすくなっているところから、日本にはディスレクシアはあまり居ないとされてきたそうです。遅い早いはあっても、努力さえすれば読み書きはできると思い込んでいたのです。逆に言うと「読み書きできないのは努力が足りない、怠けている」ということです。
 実はディスレクシアの人は一般の人と同じ文字を見ても反転していたり(鏡文字)、歪んだり、重なって見えていたりするそうです。要は文字という外部情報を脳がどう処理するのかという問題だそうです。
 そういえば、私は小学校3年生くらいまで学校の成績がすごく悪かったのですが、実は視力が悪くて黒板の字もろくに見えず、ノートに書き写すのができませんでした。先生の話はわからないわけではなかったので別に気にしていませんでしたが、宿題などはほとんどしていませんでした。視力検査では目が悪いのがかっこ悪いと思ったので前の子の言うことを記憶して答えていたのでそんなに目立たなかったのでしょう。ある時、目が悪いのがばれて、眼鏡をかけることになったのですが、「世の中はこんなにスッキリ見えるんだ」と感動した覚えがあります。それからすこし勉強もできるようになったのかな?という気もします。目が悪い子はいくら努力しても見えないのです。眼鏡などで矯正しないことには。
 もし、ディスレクシアという障害であって、読み書きに遅れをとっていて、そのことに特別な配慮がないとしたら、学校の勉強は嫌いになるでしょうね。実際は数学や理科ではそんなに言葉が正確(漢字の間違いなど)ではなくても良いような気がします。
 西欧ではディスレクシアと認定されると、特別の教育プログラムが提供されるそうです。例えば、読むことは苦手でも聞き取りのできる子は音声での問題にするとか、パソコンの利用を認めるとか、試験でも問題を読むために特別に時間を延長されるとかです。
 大切なのは相手が「普通」にできていないからといって即「怠けてる」と決め付けるのではなく、「何が違うのか、どこで躓いているのか」を丁寧に見つけることなんでしょうね。

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