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2013年 10月号

今何が起こっているのか


「刑務所の経済学」という本によれば、日本では受刑者一人当たりの収容費用は年間300万円だそうです。平成20年の生活保護費1人あたりは年間およそ170万円です。単純な比較は注意が必要ですが、経済的に見る限り「犯罪者は刑務所に入れておけばよい」というわけにはいかない気がします。
 普段私たちはテレビドラマや映画、ニュース等で関心を持つのは「犯人か犯人でないか」であって、裁判で判決が出るまで関心はあっても、その後の事はほとんど関心を持ちません。現実は、死刑囚以外は刑期を満了するか、それ以前に仮釈放で社会復帰しているのです。今、一般に刑事事件が増えているかどうかをきくと「増えている」と答える人がほとんどでしょう。確かに増えているらしいのですが、ほとんどが自転車泥棒や窃盗などの軽微な犯罪で、殺人事件等の凶悪事件はむしろ減っているそうです。軽微な犯罪でも回数を重ねると累犯者ということで禁錮か懲役刑が課せられます。年間ほぼ3万人強、現在6万人強の受刑者が収容され、年間2,000億円以上が使われています。
 驚いた事に、長引く不況や少子高齢化のため「近年における日本の刑事事件は、若者による凶悪犯罪が減少する一方、障害者や高齢者による窃盗や詐欺が増加している。」というのです。
そして、その傾向は年々増し、刑務所が福祉の最後の砦になりつつあるというのが現実だそうです。刑務所は入所拒否できないという意味で。
 「絶対に赦(ゆる)せない!」という思いは、その裏に「自分はそんな事しない、ありえない」と思う傲慢さが潜んでいるといいます。「自分だって一歩間違えば…」とか「同じ境遇になれば…」と思えれば理解ができる事もあります。人生につまづいて罪を犯した後、罰せられて、それで人生終わるわけではないところが難しいところです。その後も普通は続いて生きて行かなければならないのです。そこで社会(世間)や家庭に居場所が有るか無いかで大きく違います。罰を受けてもそれでチャラになる事はなく、前科者というレッテルを貼られて生きてゆく事になります。居場所が無いから元の犯罪仲間に戻る、再犯を犯して刑務所に戻る、「高齢で障害を負えばなおさら…」というわけです。
 居場所が無いという意味では今の高齢者・障害者問題と共通するところがあり、すでに高齢者、障害者福祉の担い手が、更正事業に広がってきている例もあります。(長崎の雲仙コロニー)チョット視野を広げてみたいと思います。

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