有限会社 ヒューマンリンク

 

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2013年 9月号

はちすの花


刑務官役の高倉健の「あしたへ」という映画で有名になった日本のマチュピチュといわれる竹田城址に行ってきました。すごい人気で上の駐車場に入るのに40分待ちということで、上までは登りませんでした。向かい側に良く見える頂があるというのでそちらの方に行き、見学する事はできました。すばらしい景色でした。登るのなら電車で行くのがおすすめです。
帰りに温泉があるというので入って帰る事にしたのですが、そこにたまたま蓮の花が育ててありました。咲いているのは少ないのですが、およそ30鉢ほどあったように思います。看板に女性・少年活動センターと書いてあったので、何か活動の一貫として育てているんだろうなあと思いました。
ユングではないのですが、意味のある偶然というのはあるものです。実は会社の研修で障害者差別解消法の話などをした後、妙に心に引っかかることがあったのです。というのも「好き嫌いは差別ではないけれども、嫌いなことというのは意外と本当は自分の一部である事が多いようですよ。」というような話をしたあとです。自分で話していながら「俺の嫌いなものは何かな…」と考える事になりました。あまりないのですが、実は小さいときから警察官が嫌いなのです。
私の父親と、父親が頼りにしていた大阪で唯一の親戚の叔父さん(父親にとって)は警察官です。嫌いな理由は、正義の味方であるはずの警察官のイメージと現実の警察官である父親の言動が違いすぎたというのが一番です。部落差別などを知り始めた頃からだと思います。朝鮮人や中国人に対しては差別的なことを未だに高言していますし、部落差別は高言はしないけれども蓋をする感じです。若いときに疑問を投げかけても考えるどころか、無視し続けられました。二度の家出で抗議をしても伝わりませんでした。私にとって「父親=警察官=壁」という思いだったのです。大学に行くときも、親に経済的負担をかけながらも「将来的には敵になる…」とか言い捨てて名古屋に行きました。大学を出て大阪に帰ってきたのは「なんだかんだ言っても親には負担をかけた。」という思いと、「親が当てに出来るのは俺だけなんだろうな。」という思いがあったからです。
そんな父親=警察官が自分の一部でもあると考えたとき、警察官や刑務官(父親は警察官とは言っても長い間留置所の看守をしていたので刑務官に近いのかも)の事をあまりいや殆ど知らない事に気付いたのです。そして出会った映画が「あしたへ」であり、蓮の花なのです。「♪ドブに落ちても根のあるやつは、いつかははちすの花と咲く…」はちすの花とは蓮の花の事だったんです。何故か涙が出てきました。…つづく

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