2013年 8月号
目指せオーダーメイド介護
2003年より文部科学省では「個人の遺伝情報に応じた医療の実現プロジェクト(オーダーメイド医療実現化プロジェクト)」というのがはじまり、10年たったそうです。服を作るときに身長を基準にして平均的パターンを決め、あらかじめ大量生産して販売するというレディメイド(既製服)に対して、注文に応じて生産するというオーダーメイド(受注服)。「たとえば、がんという診断に基づき、効くのか効かないのかも予測できないままに抗がん剤を投与し、結果は神のみぞ知るというような治療法」であるレディメイド医療に対して、「それぞれの患者さんの病気の状態を正確にとらえて、副作用のない有効な治療法を提供する」医療だとされています。
「そうなんだ!ほんの10年前まで日本の医療はレディメイド(大量生産・既製品)医療だったんだ!!」と今更驚くまでもないですが。「やっぱり」と思うのは私だけでしょうか。
もともと医療にしろ介護にしろ人を支える行為は、個人個人に応じたオーダーメイドがあたりまえ(オーダーメイドというのは和製英語だそうです、英語では言葉すらありません、大量生産システムでの商品化が進んでレディメイドという言葉ができてきた。)
要介護度に応じた介護給付、予防介護の包括料金制度…。考えてみれば厚生労働省が進めている介護システムは、もともとオーダーメイドであった介護の大量生産化、レディメイド介護への道を突き進んでいるように思えます。
もちろん大量の介護労働者の創出、商品としての介護サービスの提供は国民生活の改善に大いに役に立っている事とは思います。今後まだまだ続く少子高齢化の波は、要介護者の増加と商品としての介護サービスの需要の増加を予想させます。しかし、利用者の個別性を無視したサービスの一元化(マニュアル化)、生活援助の軽視と軽度者の切捨ては、レディメイド医療の二の舞(失敗を繰り返す事)になるような気がします。
コンビニに買物に行っていつも思わされる思い(顔も見ずに大声で繰り返されるうるさいだけの「いらっしゃいませ」)を要介護者が味あわないでよいことを願います。