有限会社 ヒューマンリンク

 

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2013年 6月号

豊かさとは・・・


 会社や地域でのかかわりで、会議や交流会というのが多いのですが、話の中身というより目的や運営をめぐった食い違いがよくあります。大きく分けると二つに分かれます。片方は「直線型思考」、でもう一方は「循環型思考」とでもいえるものです。
 目指す目的を明らかにして、その目的達成のために課題と方針を明らかにしようとするのが直線型思考です。進歩と成長・発展が求められ、そこでは極力無駄な議論は省かれる傾向があります。政治活動や会社の営業対策会議などには向いています。
 実はこの直線型思考というのは、あたりまえのように思いがちですが、そうでもないようです。特にアジア、日本では長い間「循環型思考」の方が当たり前だったようです。およげたい焼き君ではないですが、人の命や宿命は決められており、人は決められたときに決められた事をすべきだと考えられてきたのです。日本ではその年が歴史的にどの段階、(例えばキリストが生まれてから何年目…これが西暦の考え方)というのは大して重要ではなく、春夏秋冬のどの時期にあたり、どんな行事をこなすべきなのかという事の方が大切なのです。この進歩と成長のない循環型思考は非常に無意味なように見えますが、その中で生き、序列に従い自分のすべき事さえ行えば、競争はなく、安全と安心は手に入るのです。
 しあわせの国ブータンの秘訣はここにあります。
 西洋の直線型思考方法は、循環型でのんびり生を楽しんでいたアジア社会を一変しました。身分制度という序列を破壊し、全ての人を成長と進歩の競争へと駆り立てたのです。そこでは強者・勝者が全てであり、弱者・敗者は強者のおこぼれで保護される存在となったのです。子供や高齢者、障害者がそれなりの社会の役割を持っていた時代はおわり、全てが弱者という「ひとくくり」にされることになりました。
 ところが西洋型思考法が行き着いた「物質的豊かさと勝者の生活」を手に入れたアメリカ、「日本」といった先進国に陰りが見えてきました。豊かでも勝者であっても「幸せ」と思えないのです。生活保護で11万円も支給できるこの日本で、自殺者は相変わらず3万人を越え、理由の分からない無差別殺人事件が繰り返されているのです。  かといって、一度手に入れた便利さや豊かさを手放す気持ちは誰にもないでしょう。直線型思考を維持しながら循環型思考を取り入れた新しい思考法が求められているのでしょう。具体的には、進歩や成長を見るのだけれども、立ち止まり当りを見回し豊かさをかみしめる余裕をもつことでしょう。…なんちゃって。

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